思いっきり探偵団覇悪怒組、7話「ボクのパパは魔天郎」より。
- 少年
進くん
竹早小学校、5年3組。仲良しの4人と少年探偵団「覇悪怒組」を結成し、怪盗魔天郎の悪事を追います。
手裏剣が特技の少年です。
いたずらっぽい、快活な笑顔。これから虚ろ目になるのに…。
- 内容
実家の八百屋を手伝う進くん。
その目の前で……
常連さんが万引き!
父ちゃんに言いつける進くん。
しかし父ちゃんは……
何事もなかったかのように接客します。
夕食どき。
常連さんを咎めなかった父ちゃんに、進くんは怒りをぶつけます。
しかし、父ちゃんにも考えがありました。
近所にスーパーができた今、常連さんを失うわけにはいかない。
だから、300円のトマトの利益を諦めたのだ、というわけです。
う〜〜〜ん………。難しい。
「悪」なのは万引きしやがったオバハンですが、父ちゃんの言い分も分かる。
家族の生活を守るための判断だと思うと、胸が張り裂けそうになります。
ただ、そんな機微が伝わるはずもなく、進くんは憤激。
「食うためだからって、泥棒したお客にまでヘイコラしちゃってさ!父ちゃんの意気地なし!それくらいなら俺、飯なんか食わねえからな!」
というわけで、ハンガーストライキに入った進くん。
しかし、案の定力が出ず、学校で倒れてしまいます。
それを見ていた魔天郎は……
父ちゃんに変装。
帰宅した進くんの前に現れ、実は自分は大金持ちで、八百屋をやっていたのは「趣味」に過ぎない、と語ります。
インチキくさい!!!
進くんも、この表情。
「いきなりそんなこと言ったって、信じられるかよ!」
「いや、お前はすぐに信じる。」
キッパリと断言した魔天郎。
リボンを取り出し……
進くんの目の前で回転させます。
「さあ……。これを、じいっと見なさい……。」
「私がお前の父親だよ……」
リボンを見つめる進くん。
次第に魅入られ……
催眠状態に。
魔天郎のことを、本物の父親と思い込んでしまいます。
新しい服をもらい、豪邸に連れてこられた進くん。
当座の小遣いは500万。
世界一周にも連れて行ってくれると言います。
二、三日うちに出ようという魔天郎。
パスポートをもらい、喜ぶ進くんでしたが……
「……ダメだ。今は学校があるから行けないよ!覇悪怒組の仲間とも、毎日遊ぶ約束だしさ!」
その瞬間、魔天郎が豹変します。
「覇悪怒組ィ⁈」
「進。あんな連中と付き合うのはもうやめなさい。」
「えっ…?でも………」
ためらう進くん。
しかし、摩天楼がリボンを取り出すと……
再び催眠術をかけられてしまいます。
リボンを見つめる進くん。
意思を奪われ……
洗脳完了。
「分かった……」
「パパの言う通りにするよ……」
魔天郎の言いなりになった進くん。
貧乏人とは付き合いを持てないと、覇悪怒組を抜けます。
- 総評
ススムくんの、催眠術にかかった時の表情の変化が素晴らしい本作。力が抜けて、快活な顔が虚ろになってしまう…。実にいい描写です。
回転するリボン、というモチーフも、実に催眠術的。特撮では、意外と珍しいのでは無いでしょうか。
なおこの回は、性癖的な観点を離れても、摩天楼のダンディズムが光る名作です。
覇悪怒組は、これに限らず深い作品ですので、ぜひ一度ご覧ください!